歯は硬く、丈夫にできていますが、それでも長い期間にわたって硬い物を噛んでいることによって、実は目に見えない無数のヒビが歯の表面に入っています。このヒビのことを歯医者ではクラックと呼んでいますが、このヒビは歯がしみたり、違和感を感じさせたり、時には痛みを生じさせることがあります。それというのも、ヒビによっては神経にまで達するほど深く入ってしまうことがあるからです。神経に達することによって、食べ物を噛んだり、飲み物を飲んだりしたときに、歯の表面からヒビを通って熱や衝撃が神経にまで伝わることになります。幸いなことにヒビという細かな隙間なので、飛び上がるほど痛いというわけではないものの、ズキンとしみたり、予期せぬ時に痛みが走るのは不快な物です。一度そうなると、またしみるのではないか、痛むのではないかと不安に思ってしまうことでしょう。
ヒビを埋めてしまえば、刺激が神経に到達することはなくなるのではと素人としては考えますが、実際には歯医者に行っても、ヒビを治す治療というのは行われないのが普通です。それというのも、歯の表面にヒビが入っているのはほとんどの人に当てはまることであり、治療をするとなると、すべての歯が対象になると言っても過言ではないからです。ただし、食事のたびに痛みはしないかとドキドキするのも困りものですので、その場合は歯医者でシミ止めの薬を何度か塗ってもらうという対処をすることになります。よほど強く噛んだり、かなり固い物を食べたりすると、歯が大きく欠けてしまったり、最悪の場合、歯が折れてしまうこともあり、そうした場合は歯を抜くか、神経を取ってしまうしか、方法がありません。それ以外の無数に入っているヒビに対しては、生活に支障をきたさない限りはそのままにしておくというのが、一般的な歯医者の共通の見解です。
とはいえ、しみたり痛みがあるときは、すぐに歯医者に行き、ヒビが原因だとなれば、シミ止め対策をしてもらうのが安心です。硬く、丈夫にできている歯でも、負担を与えるような食べ物を常に食べていると、ヒビが多くなり、最終的には割れてしまう恐れもあることを、頭の中にとどめておくといいのではないでしょうか。冷たい飲み物を飲んだとき、なかに入っている氷をガリガリと噛むのが好きという人や、飴を食べるときに、舐めるのではなくいきなり噛んで食べるのが好きという人は、歯に多くのヒビが入っていると考えられます。歯が欠けたり、割れたりしないようにするためには、こうした癖を見直してみることも大事です。